自分には子供(娘)がいるので、絵本は沢山持っている。定期的にいくつか送られてくるサービスを利用しているし、自分が子供の時に好きだったものを買ってあげたりもする。
それで子供と一緒に絵本を読んでて思うのだが、人気の絵本ってのは大体、非常に良く出来ている。話の筋は単純なのに情報量が多くて、想像力が刺激されて、ついでにさりげなく教育的だったりもする。言葉に頼らずここまで出来る絵本作家ってのは本当に凄いと思う。
…なのだが、中には読んでて凄くイライラするものや、臭くてしょうがないものがあるのも事実なのである。ポジティブな絵本紹介がこちら(かわいい新刊絵本を2冊紹介させて下さい。『ぼくはうさぎ』『ぼくぱぐ』 - バンビのあくび)で行われていたので、自分はむしろそういう本を一つ、ネガティブに紹介しておく。
それがこの「くまのがっこう」シリーズである
とにかく、一度読んでみて欲しい。それなりに人気のある絵本で、絵は可愛い。ストーリーもなんか可愛らしい。全体的におしゃれ。
…が、その全ては、子供に向かっていない。明らかに、母親を意識して描かれているのである。読んだ大人に「キャー可愛い」と言わせて、子供ではなく「母親に」買わそうとしている本なのである。
そりゃ販売戦略としてはありだろう。母親が買ってしまえば、絵が可愛いから子供は読むだろうし。どこからも文句は出ないかもしれない。
でも自分は納得出来ない。子供向けの絵本は、とにもかくにも子供に向けて描かれるべきだ。子供のことを考え、子供を観察して、子供が興味を持ちそうな物を、かつ手垢のついていない物を作るべく努力すべきなのだ。「大人が可愛いと感じるもの」みたいな新鮮味のまるで無い、くそみたいなものを軸に据えてどうするというのか。そんなもの、大人になったらゲロが出るまで付き合わされるんだから、今から子供に見せる必要は全く無いのだ。
世知辛い世の中だが、せめて絵本くらい「どう売るか」じゃなくて、「子供がどう感じるか」を中心に作成して欲しい。
…自分は道徳的に文句を言っているのではない。そうではなく「どう売るか」で作った絵本は臭くてしょうがないし、手垢のついた「可愛さ」は見るだけで吐き気がするので、子供に本を読むのが苦痛になって困るから、やめてくれと言っているのである。
まーなんというか、志は高く持つべきじゃないか。生活は大事だろうけどさ。