この世の背景

主に、どうしようもないことを書いています。

『ある奴隷少女に起こった出来事(ノンフィクション)』に見られる、コントロール欲求

 めちゃめちゃ面白かった。なんというか、人間の嫌な部分が丸出しというか、モロ出しというか。で、その中でも、差別そのものよりも面白かったのは、主人公を所有する医師の見せる、「他人を意のままにコントロールしたい」という欲求である。これがまぁ凄い凄い。最高。

 

 わかる、わかるぞ、その気持ち!他人をコントロールしたいよね!自分の欲望通りに!自分が「そうあるべき」と思う形に!そしてコントロール出来ると思ってたのに出来ないときの絶望感!!

 

 個人的に人が人を憎む時、あるいは殺してしまう時に最も大きい働きを持つのは、「どうしても思う通りにできないことへの怒り」だと思う。女性がどうしても自分になびかないとか、自分の方が正しいのに相手が決して譲らないとか、どんなに懇願しても相手が絶対に妥協してくれないとか。憎いよねー。心の底から。

 

 で、相手が犬とかゾウリムシみたいに話が通じないならあきらめもつくけど、人だからね!会話は成立するのに、こちらの思う通りにならない腹立たしさ!!更に相手が肉親とか、親しい友人とか、立場がちょっと下の奴とか、それこそ奴隷とか、「ある程度こちらの言うことを聞いてくれるはずだ」と思っている立場の人間なのに、こちらのコントロールに全く反応しない時…憎い!!憎いどころか、殺したいよ!!

 

 っていう、程度の差こそあれ、全ての人が持つ「他人を意のままにコントロールしたい」要求の暴走がつぶさに描かれていて、思わず身悶え&興奮した。

 

 久々にノンストップで読んだわ…