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この世の背景

主に、どうしようもないことを書いています。

夢1

その通路はかなり暗いのだが、赤い光によって辛うじて足元が見える程度にぼんやりと照らされていた。コンクリートの打ちっぱなしで、そこかしこにパイプや用途のしれない機器が転がっている。ただし中央は獣道のように開けていて、進むのに苦労はいらなかった。窓が一切ないところを見ると、地下なのかもしれない。

 

特に躊躇する気持ちもなく進んでいくと、突き当たりはやや広がった空間になっており、そこには格闘ゲームの筐体が幾つか設置されていた。数人が画面に向かい、熱心にレバーを動かしている。壁際にはカウンターがあり、簡単な食事などを提供しているようだ。自分はそこで食事を摂った。味に特記すべきところはなく、なんら感動もせずに食べ終え、その部屋を出た。

 

しばらく通路を進むと、右に小部屋が見えたので、覗いた。

 

そこはあまり広くない部屋になっており、通路とさして変わらない程度に散らかっている。通路よりなお一層暗いのだが、やはりぼんやりと赤い。その部屋の片隅に、下着のような格好で裁縫に耽っている女性がいた。こちらの視線を感じたのか、手は止めずに目だけで少しこちらを見たが、すぐにまた手元に目を落とした。この女性は、名目上「針仕事に従事する人」ということになっているのだが、実態は売春婦なのだ。

 

部屋を出て、しばらく歩き、その区域から出たのだが、ふと、財布を忘れたことに気づいた。急いで先ほど食事したところに向かう。

 

もう少しで突き当たりの店につこうというとき、煙が見えた。急いで入ると、カウンターが燃えており、一人の中年女性がそれを消そうと必死になっていた。それは放っておいて自分の財布はないか見まわしていると、その中年女性が「これでしょう」と、財布を放ってよこしてくれた。礼を言ってその店を出る。

 

途中でなぜか、先ほどの小部屋をまた覗いた。先ほどと同じように赤く薄暗い部屋で、先ほどと同じように裁縫に耽っている女性がいる。先ほどと同じ様にこちらに目を向けて、しかし今度は「私、針子じゃなくて、本当は売春婦なのよ」と言った。自分はなんとなく「どちらが本当かなんてわからないでしょう」と言ったのだが、女性は馬鹿にしたような表情を浮かべたあと、再び目を落として裁縫を再開したのだった。


(日曜勤務の午睡にて)